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★娘に語るお父さんの歴史(著・重松清)

★娘に語るお父さんの歴史(著・重松清)

昭和38年生まれのオジサンが、中学生の娘に「戦争体験のあるじいちゃんばあちゃんに比べ、お父さんってどんな時代に生きたのか、ちっとも見えないんだよねー」と言われ、「おれはどういう時代に子ども時代を過ごしたのだろう」と自問し、図書館に通い詰め、歴史を調べ、自分の言葉で娘に「昭和」という時代について熱く語る、というような設定の本。
漢字にルビをふるなど、中学生くらいの年齢層の読者を想定している、と見せかけてはいるが、実は、とうのオヤジ世代が読むと一番胸が熱くなってしまうような中身になっている。

ただし、この本のラインナップであるちくまプリマー新書自体は、「中高生向け新書」をうたっているようだ。実際の読者層が本当に「中高生」なのか「中高年」なのか(おお、1文字違いだ!)、ぜひ出版社に聞いてみたい。

で、本書。
キーワードは「テレビ」、そして「パパ・ママの呼称」、「ふつう」への圧力、「速さ」、「科学と未来」などで、わざわざ親が子に語りかける設定でなくとも書ける時代分析本を、あえて、熱っぽく涙もろいオヤジを主人公に描くあたりが、重松さんの技だ。
もちろん「昭和38年生まれ」というのは、重松さんご自身がモデルであるわけで、子どものころの思い出なんかも、重松さん自身の思い入れがたっぷり詰まっている。

この本、最初は時代論ながら、最後は「幸せとは何か」という問いかけへと移っていく。
大好きな重松さんの書とはいえ、「必読の書」とも思わなかったし、例えば私のお気に入りの「よりみちパン!セ」(理論社)のように「息子が中学生になったら読ませたい」とすら思わなかったのだけれど、最後の最後はやっぱり、「重松節」が決まっている。

主人公のオジサンは最後に心の中で娘にこう呼びかける。
「だから、ゆっくり、オトナになれ」と。
「これからおまえは、算数が苦手になったり、鉄棒の逆上がりができなくて居残り練習をささえられたり、友だちとの関係に悩んだり、親に反抗したり、大学受験に失敗したり、失恋したりするだろう。もうしんでしまいたいと思うことだって何度かあるだろう。でも、死ぬな。生きることをあきらめるな。急がなくてもいいから、いつか、オトナになれ。オトナになったら幸せが増える。幸せに勝ち負けを求めなくなり、幸せの数をふやすことができるのが、オトナだ」

ここね。
「幸せの数をふやすことができるのが、オトナだ」って言葉。
なるほど、大人の一つの定義としては秀逸だと思った。

ところで、蛇足ではあるけれど、へえええええ、と思ったのは、主人公が娘たちに語った、ある「仮定」。
交通事故死亡者に占める15歳以下の子どもの割合が、1959年までは20%以上だったのに、60年以降は10%台に下がっていることを指摘し、その原因を「テレビやマンガの人気ではないか」というのだ。
なるほどなー。
という私自身は小学生時代、夕方に子ども向けテレビをなぜか見たことがないのだった。大阪の「文化住宅」という名のいわば長屋育ちですから。暗くなるまで毎日、外で友だちと遊んでいたよなー。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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