スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

緻密な計算も最後に破綻…「ホストクラブに行ってみた」の記事

この1週間、3日連続締め切りで私を苦しめた最初の記事がこれ。
「華麗で危うい異次元 いま注目のホストクラブに行ってみた」たいがいの素材であれば、現場ルポを中心に、思い切り書き散らしてしまう私だけど。
今回はちょっと慎重に、計算に計算を重ねて書きました。
新聞で、ホストクラブという素材を真正面から取り上げるには、いくつかの配慮と工夫が必要なので。
例えば、

・宣伝にならないこと。ホスト遊びを奨励しているのではない、という抑えがあること。
・ホストクラブを取材対象とすることの社会的な意味を明記し、「うちの母ちゃんはホストに入れあげて、家族が壊れたんだぞ! 新聞はそんな場所をもてはやすのか」的な読者の批判にもきちんと答えられるものにすること。
・でも、ホストクラブの不思議なブームを偏見なしに取り上げること。

そこまで計算し尽くして書いたつもりが、原稿の最後の部分まで来て、どう締めくくるか、という壁にぶち当たったわけ。
「女は癒されたいものなのよ」的な陳腐な話にはしたくないし。
「ホストクラブはやっぱり危険」的な話を書くのが趣旨ではないし。
おまけに、どんな美形ホストを見てもちっとも心が動かない自分が現実にはいるわけで。「とはいっても、ホストってかわいいわよね」的におちゃらけて終わったとしても、嘘になる。

ところで私、原稿に困った時には、空を仰ぐことにしています。
青空を見れば、知恵が沸く。なぜか言葉が出てくるの。
ところが、ホストクラブで空を見あげれば、そこはキンキラキンのシャンデリアと鏡天井もどき。
沸いて来たのは、知恵でも、言葉でもなく、ただ、「んな簡単に人が癒されたり、幸せにされてたまるかよ」という思いだったのでした。
でも目の前で「2カ月前にホストになるために上京してきました」みたいな青年を見てるとさあ、とても攻撃的な気分にもなりきれず、それで出てきたのが原稿の最後の言葉。

見上げれば、まばゆいほどのシャンデリア。男女の嬌声(きょうせい)が響く。夜が更けるほどに若い客が増えていく店内で、ふと、例の(テレビドラマの主人公の)セリフを再び思い出した。
「すべての女性を幸せに」。
それって簡単じゃないよな、と思った。


これって、新聞記事じゃないよな。
たぶんデスクを通らないかも、と覚悟しつつ出稿したら、なぜかあっさり通ってしまった。
ある意味、嘘のない、正直な思いではあります。
でも。「~と思った」だなんて、小学生の感想文みたいよね。ぐっすん。

記事には書けなかったエピソードを一つ。
目の前に座るホスト1人ひとりに、次々、「今回のホストブームってなぜだと思う?」と質問しまくったのだけど、ある人気ホスト、夕聖くんの答がふるっていた。


「ホストブームの理由? それって、オレがいるからでしょ」


自信満々に言う。
このセリフを聴いた瞬間、心で「どっひゃーーーーーーーん」と叫んだぜ、私。
これ、どうにか記事に書き込もうとしたんだけど。彼のドアップ写真(上記リンク参照)を添えないと、このセリフの迫力とおもしろさをどうしても表現しきれなかったのよね。

しかし、なるほどなあ。
世の中にはこういう「強気トーク」にくらくら~っと来ちゃう女性もいっぱいいるんだろうなあ。

私はダメ。
どっちかというと、「僕、まだ話とかするの苦手で、緊張していて。この前なんか、あるお客さんとすっごく盛り上がって、喜んでもらえたって自負してたのに、『今度指名してあげるねー』って言ってもくれたのに、結局、二度ときてもらえなかった。なんか人間不信に陥っちゃうそうなんです」などという不器用そうなホスト君の話を、「そうかい、そうかい、大変だよな、そりゃ」と受け止めるほうが性に合ってる気がする。
まあ、初回料金コースの取材だからでしょうが。
誰も、わざわざ指名料を払ってまで、人生相談に乗ったりしないだろうしね。

この夜に会った中で、印象的だったのは、確かに強気トークの夕聖くんでしたが。
一番一緒に長くしゃべっていたいなあ、と思わせてくれた男性は、ここの社長、愛田武氏なのだった。
10年前もそう思ったけど、ほんと、話術にちからわざを感じる。
ほんと、おもしろい人だ。

記事が掲載されたら、早速社内で年下の女性記者から「取材」された。
「編集部の女性陣みんなで行ったんですか~?」
とんでもない。
私は、こういう取材は一人で行くに限ると思ってます。
一人孤独に、店の入り口に入るドギマギ感からもう、取材は始まってるわけで……。

というのは嘘で。
きれいな同僚記者をいっぱい連れて行ったら、私がつまんないじゃないのさ、というのが実は本音だったりして。



スポンサーサイト
プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。