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★すごい生き方(著・雨宮処凛)

★すごい生き方(著・雨宮処凛)

ショッキングピンクにキラキラと星が飛んでいる表紙。帯に「いじめられてよかった。リストカットをしてよかった。自殺未遂してよかった。生きづらくて、本当によかった」。かなり挑発的な帯の文句を「すごい生き方」と総括してしまうあたりが、処凛さんらしさなんだろう。
「本当によかった?」
「全部過去形で語れるの?」
と尋ねてみたい気もするが。

あの処凛さんも30歳になられたのねえ、と、40歳間近の私はしみじみしてしまったのだった。

6年前の「生き地獄天国」の時より、明確に感じたのは、処凛さんの「人に会う」パワーのすごさ。バンドやったり、政治運動やったり、北朝鮮に行ったり、イラクに行ったり。彼女は生きづらさを抱えた時、自分の部屋の中であれこれ思いをめぐらせるのではなく、本当に、自分の身体を地球上でめぐらせてしまう。
そして、「親や世間が要求する常識」に縛られず、色々な生き方を選んでいる人に出会う。生き方にはどうやらとんでもなくバリエーションがありそうだ、と身をもって知る。
家を出て、同質集団を飛び出し、日本を出て……あらためて本書を読むと、彼女がこれまで出会ってきた人の数とバリエーションはとんでもない数になりそうだ、と思い知らされる。

構成をおおざっぱに説明すると、
1・生きづらかった「私」の体験談。
2・アンケート結果を材料にした昨今の若者の「生きづらさ」分析
3・取材を通して出会った「生きづらい人々」
4・「私」が出会った「生きづらさ」を通過し「すごい生き方」をしている人たち
となっている。

今回、おもしろかったのは、3の部分。
いろいろな生きづらさを抱えたケースの一つ一つに、処凛さんが助言しているんだけど、ありきたりの助言じゃなく、フシギと読み応えがあるの。

たとえばいじめが苦しい、という人への助言。
「使える大人をさがせ」という。地域の弁護士会の「子どもの権利委員会」に訴える、探偵に依頼していじめの証拠写真を撮ってもらう、暴力や恐喝なら警察に飛び込んで被害届を出す、裁判で賠償金をむしり取る……。
すごいな、と思うのは、どれも自分から「知らない誰か」に積極的に会わない限り、できない方策であるという点。

自分がきらいだ、とか、生きる意味が分からないという人への助言。

山にこもる、滝に打たれる、座禅を組む、瞑想するなんてどうだろう。最近は体験修行を受け付けている寺なども多い。1泊2日で数千円からという寺もあり、若者の参加者も多いという。本気で解脱を目指すのもいいし、悟りを開くのだっていい。生きる意味をとことん追い求めるのは素晴らしいことではないか。その勢いで、インドでもチベットでも行ったっていい。

本当にね。
生きる意味なんか、一人で頭の中だけで考えるもんじゃないもの。

就職がうまくいかない、将来が不安、という人への助言はこちら。

無一文でも最低限の衣食住がまかなえる生き方はたくさんある。海外で住み込みのボランティアとして働く、青年海外協力隊に入る、修道院に入る、僧侶・尼さんになる、路上で歌ったり絵を描いてお金をもらう、僧侶のコスプレをして托鉢をする、刑務所に入る、などだ。
なんだか刑務所以外どれも楽しそうではないか。


これまた、いやがおうでも新しい人間関係に出会う解決策だったりするのよね。
一見乱暴な理屈だし、何より、渦中にいる人間には逆につらくなるメッセージになりうる危険はある。
だれど、ただ彼女がいいたいのは、次の一言なんだと感じた。「同じ場所で悩み続けているよりも、少しでも動けば必然的に何かが見えてくるはずだ」

処凛さん、30歳か。
久しぶりに彼女を描いたドキュメンタリー映画「新しい神さま」(監督・土屋豊)を観たくなっちゃった。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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