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★阿片王(著・佐野眞一)

★阿片王(著・佐野眞一)

こういうの、なんと申し上げたら良いんだろうか。
読後感 → 「まるで歯が立ちません」。
日中戦争当時、中国で阿片売買を取り仕切っていた阿片王こと里見甫の生涯を追跡したノンフィクション、というわけだけど、とにかく調べ尽くしたことが全部載っているという感じで、読むだけでヘトヘトになってしまったのでした。
もちろん、記録性、資料性では超一級だと思います。巻末にずらずら並んでいる主要参考文献
(あくまで「主要」よ「主要」)がなんと240点。リストだけでも貴重って感じ。

まさに構想10年の、執念の書。
読む側にも「執念」がちょっぴり必要かも。

基礎知識のある人なら、きっともっとおもしろく、ゾクゾクしながら読めたんだろう。
歴史上の人物が有名人から無名な人まで何百人も出てくるうちに、誰が誰だかもうちっとも分からなくなって、「この本をまるごときちっと筋を追って理解するためには、『阿片王を読み解く』みたいなテキスト本が必要だわ」と思ったのでした。

こんなこと書いてると、知識も教養もないの、まるバレ。
私は日頃から、「中学生に理解できる文章で書け」とデスクに言われているわけで、おまけに、新聞というのは、リーダビリティーの確保のためにも、話しをわかりやすくするためにも(これが新聞の限界でもあるわけだけど)、「100を取材して、1を書け」みたいな世界なので、知識と教養がないなりにどうにかこうにか記事らしき文章を書いてごまかしたりもしているわけだけど、こういう本を前に、呆然と立ちつくすのみ、だわ。
悔しいから必死で読んだけど、なんというか必死で読んだ、というのが一番の感想。あーあ、情けない。

あと、実は私、佐野さんの本で苦手なのは、何かの事実をむちゃくちゃ運命的に書くようなところ。
ある登場人物の一族の悲惨な最期を描いた箇所では、その結びに「呪われているとしか思えない頭山一族の悲惨な最期は、里見という昭和史の謎そのもののような男と、里見をとりまいてきた者たちの人生をとらえることの困難さを、いまさらながら物語っているようだった」と続く。

でも、私、「呪われているとしか思えない」とか言われても、別にそこまでは思わないんですけど……とか思っちゃうのよね。で、この手の一文を読むと、すーーーっと冷めてしまう。

ただし。
主人公里見がいかに不思議な魅力をもった人物だったか、というのは本のどこからも漂ってきて、そこ点がとても説得力がありました。

あと、「へええええ!」と机をたたきたくなった点も多数。
満州国を走っていた特急「あじあ号」は、東京オリンピックが開催された1964年開業の新幹線「こだま」と同じスピードだった、とか。
ものすごく些末な箇所にまで、いっぱい勉強になる話が詰まっておりました。

この人の本で「東電OL事件」にすっごく落胆したことがあったのですが(だって、本の帯に「被害女性の心の闇に迫る!」とか書いてあって、ちっとも迫ってなくて、迫っていたのは「えん罪」疑惑のほうだったんですもの)、やっぱり佐野さんは「カリスマ」とか迫力のある人の評伝ノンフィクションのほうが良いなあ、とも思いました。

こういう一読しても歯が立たない感じがする本は、図書館で読んだ後、とりあえず自分で買って蔵書に加えておこう、と思ったりします。悔しいし。
さて、次は「マオ」の上巻を読む予定。中国ものの重厚本が続きます。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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