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Alcohol is a Drug

生まれて初めての訳書「自傷からの回復」(みすず書房、http://www.msz.co.jp/book/detail/07462.html へへへ、今さらながら、しつこく宣伝しよう!)で、一緒にお仕事させていただいた、尊敬する松本俊彦先生と先日、お話する機会がありました。

折りしもその日は、警察庁が2011年の月別自殺者数の速報値(http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H23_tsukibetsujisatsusya.pdf)を出したこともあり、話題はおのずと震災と自殺の話に。松本先生は、被災地での自殺数増加がはっきりと統計に出てくるのは2~3年後ではないか、と言っておられました。周囲が復興する中で感じる格差感。あれに人は脆弱なんだよね、と。
胸にどっしりと来る話なのでした。

もう1点、被災地でのアルコール問題の話にもなりました。たとえば避難所で生活基盤を失った漁師さんたちが昼から酒盛りをしていたとして、「避難所では飲酒禁止」といえるのか? という問題。
それをバッサリと言ってしまうのはやはり、あまりに切ないものがあります。

でも、酒の上での小さな揉め事や暴言、場合によっては暴行や女性への嫌がらせ……お酒のもたらすかもしれないネガティブな結果は数え切れない、というのも現実なのです。
まして、仮設住宅で一人暮らしの被災者がアルコール依存症に陥ってしまう切ない事例っていうのも、これまでの災害でもいっぱいあったし、今もきっとあるのだと思います。

そんなわけで、もっとアルコールの問題をきちんと考えなきゃいけないよね、というような話になったのでした。

アメリカで一つ、学んだことがあります。
私の暮らしていたメリーランド州では、運転免許証取得の前に3時間のアルコール・ドラッグ講習を受けなきゃいけませんでした。この内容というのが、いわゆるアルコール&薬物乱用防止教室、みたいな感じでね。アルコールや薬物が人体に与える影響や各種ドラッグの呼び名、影響、依存の程度など、かなり膨大な知識を学ぶことになります。
挙句の果てに、最後はこれらの知識を問うテスト。
これに合格しなければ、免許は取れない仕組みなのです。

このテストの最初の問題ってのが、何より印象的でした。
文章の正誤を問う問題なんですが、こんな一文でした。

Alcohol is a drug.  (アルコールはドラッグである)」。

もちろん答は、「正しい」です。
考えてみれば当然の答なんですけどね。
この一文を見た瞬間、
「そうなんだなあ、アルコールって、最も安価で、手に入りやすく、それだけにコントロールもしづらいドラッグなんだよなあ」
と改めて気付かされた思いでした。

過去に薬物依存の取材やら、自傷の取材をしていた時も、あっちこっちでアルコール問題とぶつかったもんです。「切っちゃった」と電話してくる子が最初に飲んでたのも、そういえばお酒でしたっけ。
(すぐに、処方薬に移っていったけど)。
違法薬物乱用やら、ほかのアディクションへのシグナルとして、飲酒にもっと関心を払うべきだったなあ、と今、反省をこめてそう思います。

……ってな話し合いを、そもそも、お酒の席でやっちゃってる、アンタらってどうよ? 
なーんて突っ込まないでくださいね。
(実のところ、この日の黒糖焼酎はホント、おいしかったのよ)。

お酒大好きで、時には一人で自宅飲みしちゃう私が、なにをエラソーに言うのか、って話ではありますが。
自殺予防を考えるとき、アルコール問題はとっても大事だとひしひしと感じます。

だって、こればっかりはアルコール依存症本人だけの問題じゃないから。
配偶者や、その子どもたちにまで、時には、自殺の影を引き寄せてしまうから。
そんな悔しいケースをいくつか取材してきた今、しみじみとそう思うのです。


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訳書出版おめでとうございます!

おぐにさん、翻訳されたんですね! すばらしいー!! おめでとうございます。

カリフォルニアの運転免許では、アルコールはドラッグである、っていう講習はなかったんですよ。メリーランドではあったんですね。

私の場合、アメリカで「しんどい。もうだめだ」と思ったとき、妊娠中&授乳中でお酒が飲めなくて、つらかった。しかし、あのつらさ、お酒の味を覚えていたからがゆえだったのだと思うと、複雑です。

No title

 下戸の私は、全くアルコールが飲めないんだけど、そこまでして飲みたいと、引き寄せられる魅力があるものとは、到底思えず.....(笑)。理解不能の人間がここにおります。

 震災関係での自殺が増えるのは納得。
 実家@仙台でも、年寄りの病院の待合室の病気自慢みたいに、こんなに大変だったって話でずっと持ちきりです。でも、身内を亡くした人が一番つらいんでしょうけど、それにかなわないレベルの母の友人(家が全壊判定=でも住んでる)が、「私だって、大変だったんだから!!!」って、電話かけてきて、ガチャンと切るなどの、トラブルが続発しているらしいです。みんな慰めてがんばってるって認めてもらいたいんだよね~。
 
 

No title

美芽さん。

アメリカでは、州ごとに法律が全然違いますもんねー。
翻訳は……ははは、地獄の日々でした~。

おがわさん。

実は、日本からずーーーっと遠いワシントンDC界隈の日本社会でも、地震直後はトラブルが続出したんですよ。ちょっとした温度差、悲しみ方の違いがお互いに許せなかったり、おまけに、日本にいない後ろめたさなんかまで絡んでいて……。

はじめまして。

私はアルカホリックで、現在禁酒しています。

おぐにさんの
>>アルコール依存症本人だけの問題じゃないから。

本当にそうです。他人に迷惑、特に家族にダイレクトに行きます。

おがわさんの
>>下戸の私は、全くアルコールが飲めないんだけど、そこまでして飲みたいと、引き寄せられる魅力があるものとは、到底思えず....(笑)。理解不能の人間がここにおります。

そう常にアルコール依存症は存在しません。

アルコール依存症は回復は禁酒のみ有効です。私は「アルコール依存症である」との指摘を受け入れず、禁酒するまで病気を認めませんでした。
禁酒を開始後、生活、考え方、驚くほど改善しました。
だから、伝えたいです、
もし、アルコールによって他者に迷惑を掛けてるなと感じたら、
アルコール依存症の疑いをかけて下さい。
プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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